お知らせ

2016年10月8日

【副住職新刊「ビジネスZEN入門」出版のお知らせ】

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このたび、ビジネスパーソン向けに
「ビジネスZEN入門」という本を出版することになりました。
タイトルだけ見ると、禅を商売に使うのか、
ビジネスと禅は関係がない、と
お寺の皆様から確実にお叱りを受けるのは重々承知しています。
もちろん、禅をやれば儲かるとかパフォーマンスが良くなる、
ということは一切書いてありません。
むしろ、禅をやっても短期的に直接的なご利益はない
と書いてあります。

最近、一般企業や経営者の皆様からの講演依頼や
坐禅指導の依頼を数多く頂戴するようになりました。
禅やマインドフルネスについての書籍も
たくさん発行されていますが、
私が非常に気になるのは、
禅がいわゆる功利主義的な目的に使われていることです。
先日、米軍でスナイパー養成のために
マインドフルネスが使われていると聞きました。
まさに、本末転倒とはこういうことを言うのでしょう。

禅をやれば、心が落ち着く。
禅をやれば、仕事もはかどり、人間関係もよくなる。
禅をやれば、何か良いことがある。

しかし、禅は本来そういうものではありません。
禅をインドから中国に伝えたのが達磨大師ですが、
当時の梁の武帝という方との有名な問答があります。
武帝は数多くお寺を創建し、たくさんの僧侶をインドに留学させ、
さまざまな面で仏教に貢献してきた自負がありました。
その武帝がインドから来たという達磨大師に向かって、
「これだけ仏教に貢献してきた私はどういうご利益がありますか」
という質問をしたところ、達磨大師は
「無功徳(ご利益は何もない)」と答えられました。

禅に触れてみたらわかりますが、
坐禅をやっても慣れないうちはめちゃくちゃ痛い。
禅は非論理的で、不合理な面もあります。
もちろん、深く実践してゆけば、
その先の奥深さを味わうことができますが、
それには非常に時間がかかります。

たしかに、禅に触れたことで短期的にある種の安心を得て
仕事もはかどることはあるでしょう。
しかし、それはあくまでも「おまけ」であって、
狙ってできるものではありませんし、
それが禅の目的ではありません。

しかしながら、一方では、禅を実践することで
世界的なリーダーや経営者になられた方も数多くおられます。
スティーブ・ジョブズや京セラの稲盛和夫会長など
が最たる例ですが、
決して「禅をやれば儲かるから」という理由で
禅に傾倒されたわけではありません。
師匠である禅僧の姿や生き方に感銘を受けられ、
その哲学に触れることで、
さまざまなすばらしい社会貢献をなされたのだと思います。

宗教離れが叫ばれる時代を生きておりますが、
それは私たち宗教家の責任でもあります。
今や日本国内で正規・非正規を合わせるとサラリーマンや
ビジネスパーソンと呼ばれる方は6000万人近くになります。

宗教とビジネスは関係がない。

確かにそうですが、国民の半分を占めるみなさんに
宗教があまりにも縁遠いものになってしまいました。
一般企業に勤めながらも禅や仏教の教えに触れ、
少しでもその良さを知ってもらいたい。
安易なご利益を求めるのではなく、
もっと奥深い世界を知ってほしい。
そういう思いで書かせていただきました。

本来であれば「禅は無功徳」
のようなタイトルにすればよいのですが、
それでは本当に読んでほしい人は絶対に手にしません。
「ビジネスZEN入門」というタイトルは、
今まで宗教にあまり縁がなかった、
もしくは、禅を何かのテクニックと同じように
考えておられるような方に
是非手に取ってもらいたいと思ってつけました。

本の帯はマインドフルネスの総本山でもある、
マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボ所長
伊藤穣一先生にお願いし、快諾いただいております。

ふんだんに例示を使い、
わかりやすい表現で書いてありますので、
ひとりでも多くの社会人の方にご一読いただいて
本来の禅に触れるきっかけにしていただけたら幸いです。
※ 発売は10月20日(木)を予定しておりますが、
予約はすでに承っております。

https://www.amazon.co.jp/%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9ZEN%E5%85%A5%E9%96%80-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE-%CE%B1%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%9D%BE%E5%B1%B1-%E5%A4%A7%E8%80%95/dp/406272961X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1475856535&sr=8-1&keywords=%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9ZEN%E5%85%A5%E9%96%80

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